4歳の手先の発達が気になる|シール帳作りで気づいた「できていること」

4歳の男の子が机に向かってシール帳作りに集中し、リングを穴に通している水彩風イラスト。左側には「4歳の手の発達が気になる? シール帳作りで見つけた『できていること』」の文字が入っている。 子どもの発達・成長
シール帳作りに夢中になる姿から、4歳の手の発達と「できていること」に気づいた体験をイメージしたアイキャッチです。

「4歳って、もう少し上手に箸や鉛筆を使えるものかな?」

子どもの様子を見ていて、ふとそんなことが気になったことはありませんか。

わが家にも4歳(年中)の息子がいます。

パズルや積み木は好きでよく遊んでいるものの、塗り絵をしている様子や箸を使っている姿を見ると、「このくらいで大丈夫なのかな」と思うことがありました。

でも先日、息子と一緒に「シール帳作り」を体験して、少し見方が変わりました。

「何ができていないか」を見ていると、気になることは次々に出てきます。

けれど、好きなことに夢中になっている姿をじっくり見てみると、

「あれ、こんなこともできるようになっていたんだ」

と気づく場面がたくさんあったからです。

この記事では、4歳ごろの手の発達について最近のリハビリ・発達分野の資料も参考にしながら、シール帳作りを通して私が気づいたことをまとめます。

「発達にいい遊びをさせなきゃ」という話ではなく、

子どもが好きなことを一緒に楽しみながら、今できていることを見つける。

そんな一つの体験談として読んでもらえたらうれしいです。

4歳の手の発達は「できる・できない」だけでは見えにくい

手の発達には、ひとつの動きだけでは決まらない

「手先の発達」というと、

  • 鉛筆を上手に持てる
  • ハサミを使える
  • 箸を使える

といったことを思い浮かべるかもしれません。

私も息子の塗り絵や箸の使い方を見て、「4歳ならもう少し上手にできるのかな」と気になることがありました。

ただ、子どもが手を使って何かをするときには、指先の器用さだけでなく、いくつもの力が組み合わさっています。

たとえば、

  • 物をつかむ・離す
  • 指先で小さな物を扱う
  • 手の中で物の向きや位置を変える
  • 見た場所に合わせて手を動かす
  • 左右の手を一緒に使う
  • 道具を目的に合わせて使う

といった力です。

私自身、作業療法士として「手を使う動作」を見る機会がありますが、ひとつの動作だけを見て、手先が器用・不器用と判断するのは難しいと感じています。

今回のシール帳作りで息子がリングを通していた動きも、その一つでした。

片方の手でシール帳を支えながら、もう片方の手でリングを持ち、穴を見ながら位置を合わせていく。

大人にとっては何気ない動きですが、

「見る」「支える」「位置を合わせる」「指先を動かす」

という、いくつもの動きが組み合わさっています。

4歳ごろの「目安」は、できる・できないの採点表ではない

もちろん、子どもの発達にはある程度の目安があります。

CDC(米国疾病予防管理センター)の4歳の発達マイルストーンでは、手を使う動きとして、

  • いくつかのボタンを外す
  • クレヨンや鉛筆を、握りこぶしではなく指と親指で持つ

といった姿が挙げられています。

CDCでは、発達マイルストーンを「その年齢までに75%以上の子どもができること」として示しており、標準化された発達スクリーニングの代わりになるものではないとしています。

つまり、

「4歳だから、これができなければいけない」

という採点表ではありません。

同じ4歳でも、お絵かきが好きな子もいれば、ブロックや工作、外遊びが好きな子もいます。

普段どんな遊びをしているかによっても、よく使う手の動きは違います。

目安を知ることは大切ですが、一つの動作だけを見るのではなく、

「この子は今、何を楽しんでいて、その中でどんな手の使い方をしているんだろう」

と見てみることも大切なのではないかと思っています。

手の発達が少し気になったときは、「できないこと」だけを見るのではなく、次の3つの視点で子どもの様子を見てみるのも一つの方法だと思います。

何をしているときに夢中になっているか
左右の手をどんなふうに使っているか
少し前と比べて、何が変わっているか

わが家でも、シール帳作りをしている息子を見ているうちに、

「こんなこともできるようになっていたんだ」

と、今まで気づかなかった姿がいくつも見えてきました。

実は息子はすでに“シール帳職人”だった

4歳の息子が保育園で作った青い手作りシール帳閉じた状態から開くと、絵やチラシの切り抜きを貼ったページが見える

初めての手作りシール帳

緑色の手作りシール帳を開いた様子。4歳の息子が電車や好きなキャラクター、食べ物の切り抜きを貼って楽しんでいる

最近作った手作りシール帳

年中になった息子は、保育園のお友達の影響でシール帳作りにハマっています。

といっても、最初から市販の立派なシール帳を持っていたわけではありません。

折り紙などを重ねて自分でシール帳を作り、塗り絵やチラシから切り抜いたものを「シール」に見立てています。

裏にはセロハンテープをくるっと丸めて貼り付けるという、なんとも手作り感たっぷりの仕様です。

作ったシールをお友達と交換するのが、今の楽しみのひとつ。

年長さんのお兄さん・お姉さんたちは、お店で買った本物のシールや立派なシール帳を持っています。

そんな姿も見ながら、息子は息子なりに、自分のシール帳をせっせと更新していました。

その様子を見ていて、

「製本を実際に体験できたら、きっと喜ぶだろうな」

と思っていたところ、ちょうど出会ったのが今回の体験でした。

オリナス錦糸町で「シール帳作り」を体験

2026年8月、オリナス錦糸町で開催されていた「すみだのものづくりワークショップ」に立ち寄りました。

会場はモール1階のエントリーコート。

墨田区の職人さんやものづくりに関わるお店が集まり、いろいろなワークショップを体験できるイベントです。

その中にあったのが、紙工房「堂地堂」さんの

「オリジナルシール帳作り★リング製本体験」

でした。

表紙や中のシートを自分で選び、実際に卓上製本機を使って一冊のシール帳を作ります。

息子が今まさにシール帳に夢中だったこともあり、

「これは絶対好きそう」

と思いました。

※2026年開催時の公式案内では対象年齢は5歳以上でした。今回は4歳の息子もサポートを受けながら体験しましたが、対象年齢未満で参加したい場合は事前に主催者へ確認するのがおすすめです。

紙工房「堂地堂」とは?

堂地堂さんは、墨田区で製本を手がける「どうち製本所」が運営する紙工房です。

どうち製本所は、スケッチブックなど画材の製本を専門にしている製本所。

製本の際に出る余り紙を活用してメモ帳を作ったことをきっかけに、「紙工房 堂地堂」としての活動が始まったそうです。

現在はオリジナルのノートやメモ帳、スケッチブックなどを制作するほか、イベントではノートやスケッチブック作りのワークショップも行っています。

普段何気なく使っているノートが、「どうやって一冊の本になるのか」を実際に手を動かしながら体験できるのも魅力です。

「どれにしよう?」から、もう体験は始まっていた

シール帳作りは、材料を自分で選ぶところから始まりました。

色紙や透明のシート、シールを入れておけるポケットなどを、一枚ずつ見ながら選んでいきます。

親としては、つい

「この色とこの色が合いそう」

なんて口を出したくなります。

でも今回は、できるだけ息子にお任せ。

どの紙にするか、何枚入れるか、どんな順番にするか。

息子なりに考えながら決めていました。

振り返ってみると、手を動かすことだけでなく、

「自分で選んで、自分で決める」

というのも、この体験の大きな楽しさだったように思います。

初めての製本機にドキドキ

「スタッフに教わりながら、ハンドル式の機械でノート作りを体験する子ども」

紙を並べ終えたら、次はいよいよ製本です。

初めて見る製本機に、息子は少し緊張しているようでした。

それでも、

「これ何?」

「どうやってやるの?」

と興味津々。

スタッフの方に教えてもらいながら、紙に穴を開けていきました。

初めての道具なので、もちろん全部を一人でできるわけではありません。

大人に手伝ってもらうところもありながら、自分でできそうなところは自分でやってみる。

4歳の息子も、サポートしてもらいながら無理なく楽しむことができました。

一番集中していたのは、リングを通すところ

「スタッフに教わりながら、リングをノートに取り付ける子ども」

私が特に印象に残っているのが、開けた穴にリングを通していく工程です。

穴を見ながらリングの位置を合わせ、ひとつずつ通していきます。

ここで息子が驚くほど集中していました。

片方の手でシール帳を支えながら、もう片方の手でリングを操作する。

穴の位置を見ながら、指先を少しずつ動かしていく。

その姿を見ていて、

「あれ、こんなふうに両手を使えるようになっていたんだ」

と気づきました。

普段、塗り絵や箸の使い方を見て「まだちょっと不器用なのかな」と思っていた息子が、好きなものを作っているときには、こんなふうに両手を使っている。

私にとっては、それが今回一番の発見でした。

最後は「パパ電車」と「ママ電車」

最後は表紙と裏表紙に自由に絵を描いて完成です。

電車が大好きな息子が描いたのは、もちろん電車。

真ん中の電車は

「新宿東京ライン」

そして上に描いたのが「パパ電車」。

下には「ママ電車」。

「これはパパで、こっちはママね」

と得意げに説明してくれました。

実は、電車の絵にも少し成長を感じました。

つい数週間前までは、長方形の中に窓やドアらしきものがあって、「これは電車かな?」とわかるくらいの絵でした。

それが今回は、タイヤがつき、車体にも装飾が増えていました。

使っていたのが細いペンだったので少し描きにくそうではありましたが、「これは窓」「こっちはドア」と説明しながら、それぞれ大きさも変えて描いていました。

さらに「パパとママを描く」と聞いたとき、私は人の絵を描くのだと思っていました。

ところが息子が描き始めたのは、上下に並んだ横長の長方形。

最初は「位置がずれたのかな?」と思ったのですが、本人は迷うことなく、その長方形を電車に仕上げていきました。

そして完成したのが「パパ電車」と「ママ電車」。

人そのものを描くのではなく、好きな電車に家族を重ねて表現していたことにも驚きました。

よく半蔵門線を利用しているので、「紫色なのはその影響なのかな?」なんて、私のほうまで想像が膨らみます。

絵の上手・下手よりも、自分で作った一冊に、自分の好きなものを描いて、自分なりの物語までつけている。

それを聞いている時間も含めて、とてもいい体験になりました。

シール帳作りで見つけた「できていること」

「シール帳作り体験で完成した、手描きの表紙付きリングノートを見せる子ども」
手作りシール帳の表紙、子どもの絵が描かれた次のページ、黄色と赤の台紙を開いた状態を⇔で順に示した画像

完成したシール帳を見ていて、私が一番感じたのは、

「思っていたより、いろいろできるようになっていたんだな」

ということでした。

今回の体験では、

  • たくさんの紙から好きなものを選ぶ
  • 並べる順番を考える
  • 初めての道具を使ってみる
  • 片方の手で支えながら、もう片方の手を動かす
  • 穴を見ながらリングを合わせる
  • うまくいかなければ、もう一度やってみる
  • 自分が作ったものについて説明する

そんな姿を見ることができました。

手先だけではありません。

考えること、選ぶこと、集中すること、自分の思いを伝えること。

ひとつの遊びの中に、いろいろな姿がありました。

でも、その場で私は

「これは両手協調だ」

「目と手の協調ができている」

なんて分析していたわけではありません。

ただ、楽しそうに作っている息子を見ていただけです。

手の発達とのつながりに気づいたのは、むしろあとからでした。

だからこそ、「発達のために何かをやらせる」よりも、まずは子どもが夢中になれることを一緒に楽しむくらいでいいのかもしれない、と感じています。

「ひも通しをやらせなきゃ」とは思わなくなった

最初は今回の体験をきっかけに、

「家でもひも通しを取り入れてみようかな」

と思っていました。

ひも通しでは、穴を見ながらひもを通したり、片方の手で支えながらもう片方の手を動かしたりします。

今回のリング製本とも似た動きがあります。

でも、この記事を書くために手の発達について改めて調べているうちに、

「ひも通しをやらせなきゃ」と考える必要はないのかもしれない

と思うようになりました。

息子はすでにシール帳作りの中で、好きだからこそ、自分からいろいろな手の使い方をしていたからです。

ひも通しが好きななら、ひもを通す。

折り紙が好きなら、折る。

シールが好きなら、はがして貼る。

お絵かきが好きなら、描く。

工作が好きなら、切ったり貼ったりする。

その子が「もう一回やりたい」と思える遊びの中にも、いろいろな手の動きが含まれていることがあります。

普段の生活にも、手を使う場面はたくさんある

特別なおもちゃを用意しなくても、よく考えてみれば普段の生活でも手を使っています。

たとえば、

  • 箸やスプーンを使う
  • お菓子を指でつまむ
  • 洋服のボタンを留めたり外したりする
  • 靴を履く
  • 洗濯ばさみをつまむ
  • 袋や容器を開ける
  • お絵かきをする
  • シールをはがして貼る

など。

それぞれ使う力は少しずつ違いますが、子どもは毎日の生活の中でもたくさん手を使っています。

「手先を育てるために、新しい知育玩具を買わなきゃ」

と思わなくても、すでに生活の中にその機会はたくさんある。

そう考えると、私自身も少し肩の力が抜けました。

もし家で何か新しい遊びを試してみるなら、ひも通しも選択肢のひとつ。

でも、無理に取り入れる必要はなく、

子どもが今好きな遊びを少し広げてみる

それくらいの気持ちでもいいのかな、と今は思っています。

それでも気になるときは、相談していい

もちろん、「個人差があるから何もしなくていい」という意味ではありません。

発達のマイルストーンは、子どもの成長を見守り、気になることに早めに気づくための目安でもあります。

たとえば、

  • 手を使う遊びや動作を強く嫌がる
  • 日常生活で困る場面が多い
  • 以前できていたことができなくなった
  • 親として気になる状態が続いている

といった場合は、かかりつけの小児科や自治体の発達相談などで話してみるのも一つの方法です。

発達のチェックリストだけで診断することはできません。

「ちょっと気になる」という親の感覚も含めて、必要なら専門家に相談しながら見守っていけばいいのだと思います。

まとめ|「できてるかな」より「何を楽しんでいるかな」

息子の塗り絵や箸の使い方を見て、

「4歳って、もう少し上手にできるものなのかな」

と思っていた私。

でも今回のシール帳作りでは、片方の手で冊子を支えながらリングを通したり、細かなものを扱ったり、自分で考えて一冊を作り上げたりする姿を見ることができました。

「できていないところ」を見ていたときには、気づかなかった姿でした。

子どもの発達が気になると、どうしても、

「何歳なら、何ができる?」

と調べたくなります。

もちろん、目安を知ることも大切です。

でも、ときには少し視点を変えて、

「この子は今、何を楽しんでいるんだろう」

と見てみる。

好きなことに夢中になっている姿の中に、親がまだ気づいていなかった「できていること」が隠れているかもしれません。

わが家の場合、それに気づかせてくれたのが、一冊の小さなシール帳でした。

これからも「発達にいいことをさせる」より、息子が今夢中になっているものを一緒に面白がってみたいと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

参考にした資料

  • Visser M, Smith R, Casteleijn D. Preschool Hand Function Assessment Instruments: A Scoping Review With Targeted Analysis of Performance-Based Instruments. Occupational Therapy International. 2026.
  • Zhang B, Lin Z, Li C. Fine motor skills assessment instruments for preschool children with typical development: a scoping review. Frontiers in Psychology. 2025.
  • Zubler JM, et al. Evidence-Informed Milestones for Developmental Surveillance Tools. Pediatrics. 2022.
  • CDC「Milestones by 4 Years」

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